ぼく盲導犬、よろしくね

vol.08 盲導犬ユーザーとの暮らし

グッド、グッド! ハーネス=今日も一緒!
毎朝6時に鳴り響く目覚ましと共に、
お父さんと僕の1日がスタートする。
お父さんはまず「ワンツー、ワンツー」と言って、
僕のトイレを済ませ、そのあと僕の朝ごはんの用意と大忙し。
それでも空っぽになった僕の食器を触って、
「今日も快便、完食、グッド、グッド」と褒めてくれる。

次はお父さん自身の身支度の番。
僕は早くお父さんがハーネスを持ってこないか、
わくわくして待っている。
今日もお父さんとずっと一緒に過ごせるからね。

そんな僕だからハーネスを見ると、
嬉しくて自分からひょいって頭をくぐらせ、
しっぽを大きくブンブン振ってしまうんだ。

補助犬受け入れの法律
月曜から金曜まで毎日僕たちは
駅へと続く1キロの道を歩く。
駅の自動改札を抜け、エスカレーターでホームに昇り、
いつもと同じ7時23分の電車に乗り込む。
時々、電車に乗っている僕を見て、
びっくりする人がいるけど、でもすぐに
カフェでお休み 「あ、盲導犬か」とつぶやいて、
僕に触ったり声をかけたりすることもなく、
遠くから見守ってくれる。
そう、僕たち盲導犬をはじめ、
介助犬、聴導犬を含む補助犬は
公共の交通機関やお店、病院などへの同伴を
受け入れなくてはいけないという法律があるからなんだ。
この法律をまだ知らない人に時々出会うけど、
もっとたくさんの人たちに
理解してもらえるようになるといいな。

身体障害者補助犬法

平成15年10月、お店や病院など
不特定多数の人が利用する施設で
障がいのある人のパートナーである
盲導犬、介助犬、聴導犬
(総称して、「身体障害者補助犬」)の
同伴受け入れを義務づける法律として
身体障害者補助犬法が施行されました。
身体障がい者の社会進出と
自立を促進する社会になるために、
一人でも多くの方にこの法律について
ご理解とご協力をいただけることを願っています。

おうちでゆっくり 「補助犬ってなあに?」*厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/hojyoken/


お父さんの会社にも行くよ
会社に着くと、僕はお父さんの机の下でお昼寝タイム。
お父さんは、パソコンを立ち上げ、
音声で情報を読み上げるソフトを使いながら、
総務のお仕事をしているよ。

昔は車であちこち出かける営業マンだったんだって。
30歳のとき網膜色素変性症という
目の病気で視覚に障がいを持つ前までね。

でもお父さんの病気を理解した会社の人たちは、
どうしたらお父さんと一緒にお仕事ができるかを
何度も話し合って、今の部署に配属してくれたらしい。
また盲導犬を職場でどうやって受け入れたらいいかも、
盲導犬訓練士さんに沢山アドバイスをもらって、
僕を迎える準備を整えたんだって。
結婚式にも参列
今では僕の名刺とIDまであるんだよ。
そんな会社にお父さんも僕もすごく感謝しているんだ。

いつでもどこでも一緒だから
そうそう、去年は僕も一緒に
飛行機に乗って社員旅行に行ったよ。
その時にね、乗客の1人がお父さんにこう言ったんだって。
「盲導犬は、いつでもどこでも大好きな人と
一緒にいられて本当に幸せですね」。

お父さん、その言葉が涙が出るほど嬉しかったんだって。
僕はいつものように
お父さんの足元でグーグー寝ていたから、
社員証もあるよ そんなやりとり知らなかったんだけどね。

それ以来、一人でも多くの人に
盲導犬のことを理解してもらいたいと、お父さんは僕を連れて
盲導犬の啓発イベントで講演したりするようになったんだ。
フフフ、本当は人前でおしゃべりすることが
あまり得意ではなかったお父さんがね。
こうして気付くと僕とお父さんの幸せな暮らしは、
あっという間に8年以上の歳月が過ぎ、
僕はこの冬、10歳になろうとしていたんだ。






パパ、ママと旅行へ


http://shop.shirt.co.jp/special/items_list/156/