私達の日本社会では、その人を評価する時、学歴や家系、さらには勤めている会社が重要で日本人である以上、最小限の素養を有し、生活の背景も予想でき、政党の何処、何を支持することも、その人となりを見抜くことが出来るのです。

初対面の商談に失敗しても、後からの再挑戦も可能であり、商談後に一杯やりながら相互理解を深めることが可能なのです。
このような局面では服装の持つ意味は相対等に低いものになってしまうのです。
このため、日本のビジネスマンの大半は自分の着る服を恋人の選択や妻に任せてしまい、結果として説得力のない服装に帰結しているのです。

あるイギリス人が、日本人の男性が自分の服を他人が購入すると聞いて絶句したことを思い出します。
ルーツ・文化背景の違う民族が入り乱れて生活している陸続きの国や、アメリカのような移民大国では、初対面の人のルーツや価値観など判る筈もありません。
唯一の手掛かりは、服装であり、その人の挙動なのです。商談の80%は初対面で決まり、服装は最重要なツールとしてアメリカのセールスマンがいつか1,000ドルスーツを着る、そんな理想を追っているのです。
そのスーツをパワースーツと呼んでいます。果たして日本でこんなことを意識している人がどれくらいいるのでしょうか。
紳士服業界が衰退するのも、こんなところにも原因があるのではないでしょうか。