寒い日にはマフラーと手袋が付き物だった。
マフラーははやりモンとみえ、いろいろな結び方を見せてくれている。
一方、手袋はというと、おしゃれなアクセサリーから、防寒具に成り下がってしまったようだ。
寒さしのぎだから、手が暖かければいいと思っているのだろう、大の男が毛糸の手袋をしている。
毛糸の手袋は本来スポーティーなアクセサリーで、スキー場にはふさわしいが、
都会ではしないのがお約束。街なかで毛糸の手袋が許されたのは子どもだけだった。
手袋のドレスコードが破られるようになったのは20世紀の終わりごろのことだ。
では、大人はどんな手袋をしたかというと、革製のシンプルなデザインに限られていた。
素材は小牛、子羊が主で、ペッカリ(野豚)も認められた。色は靴に合わせたので、黒か茶と決まっていた。
手袋で思い出す映画がある。2013年上映の「鑑定士と顔のない依頼人」だ。(つづく)