正月の楽しみのひとつに年賀状がある。
1通1通ていねいに目を通す。相手の顔を思い出しながら今年は気合いが入っている、
手を抜いたな、などなど…。
この時間が楽しい。
こうしてみていると、表も裏も印刷の事務的な年賀状は、顔が浮かばなくてちょっと寂しい。
自筆のサインがあるだけで血の気が通う。
とかいいながら、わたしは昨年から年賀状を出すのをやめた。
決心したのは1通の年賀状からだ。穂積和夫さんからいただいたもので、
漫画タッチの紋付羽織袴姿の穂積さんが、正座して頭を下げているイラストがあり、
今年をもって賀状を終了するむねのあいさつ文が印刷してあった。
彼70才の年だから、10数年前のことだ。
これをまねしようと思い、区切りのいい80才から実行した。
とはいえ、なんの知らせも出さないまま一方的にやめたので、ご心配(ついに死んだか)を
おかけしたが、本人はいたって元気、しばらく生きていると思う。