数ある服飾品の中で「靴」には特別な思い入れがある。靴好きなのだ。
西の「着道楽」に対して江戸は「履き道楽」といわれる。わたしの靴好きも江戸っ子のDNAかもしれない。
ところで、「靴」という字は妙だと思わないか、「革が化ける」と書く。調べてみると明治6~7年ごろに一般化、それ以前は「沓」と書いたとある。革偏に沓とも書き、くつ、皮ぐつの意味。ついでにいうと、「皮」と「革」の違い。
業界では小動物のカワには「皮」を、例えば「鹿皮」。大きな―牛・馬―などは「革」を当てることになっている。ふと思いついたのだがクジラはどちらだったか……。「鯨皮」だったと思う。
さて、わが靴愛の始まりはIVYを知ってからのこと。1954年以降だ。当時、服に関しての情報はあったが、靴はゼロに近い。いま振り返ると恥ずかしい妙な靴を履いていた。
(つづく)