ベルトという名(昔はベルトではなくバンドと呼んだ)のアクセサリーは、表に出ることは少ないが、なくてはならない縁の下の力持ち。というか、主役ではないが渋い脇役といった役どころ。
主役はパンツ(さすがにズボンと呼ぶ人はいなくなったが、パンツは下着と思う中高年齢者は多い)だから、パンツの歴史とベルトの歴史は重なっている。
1960年代、アメリカ東部大学生のキャンパス・スタイル「アイビー・リーグ・モデル」の日本上陸とともに、ベルトに関心が集まることに。というのは、それまでのパンツ——いやズボンは、スーツの片割れで、表に出ることはほとんどない。ズボンがそれだからベルト、いや、バンドの役目はズボンがずり落ちないための小道具でしかなかった。
アイビーは、アイビー・パンツという名の若者たちの主役としての立場を確立する。自動的にベルトにも注目が集まることになった。
(つづく)