学生時代、1950年代後半、人一倍ファッションに興味はあったが、正しい知識はゼロに近い。

例えば、背広でいえば若いうちは青、年を取ったら茶色を着るべしと言われていた。

ネクタイに関しても若者は大きく結び、年寄りは小さく結ぶのが正しいと信じられ、実行されていた。とんでもない「ガセねた」だが、疑う人はいなかった。

初めてネクタイを結んだ日、ネクタイの鉄則を兄から教えられた。大きく結ぶやり方――あれはウインザー・ノットだったのだろう――を、鏡の前にネクタイと格闘した事を思い出した。

ネクタイの結び方には3種類あることを学んだのは、ずっと後のこと。そして、ネクタイの結び方は年齢ではなく、ドレスシャツの襟型によって変えることも……。

ボタンダウン・シャツにネクタイはプレーン・ノットで結ば「ねばならぬ」と知ったのはそのまた後、BDにウインザー・ノットという恥知らずをやっていた。

(つづく)