「ピケ」とは妙な名だ、なにかの略語ではないか。資料を探しまくってやっと見付けた。
「PIQUE=ピケ(仏語)虫に食われた。穴のあいた。刺縫いした布」(仏和辞典)
刺縫いした布だけではなんのことか分からない。昭和7年発行「英和 洋装辞典」によると、「ピーケー 畝織又は浮出し文様のある綿布。普通白地の経棒の略織物にして上等品は麻糸を用ふる事あり。(略)薄地の物は婦人服児童服地とし厚地はチョッキ地として夏季及夜会服の場合に用ひらる」(原文のママ)。少し分かってきた。
「ピケ 縦に畝があるか、変わり織りの、しっかりと地合の締まった綿織物」(ファッション辞典)
縦に畝(うね)がある綿織物は、わが「ピケ帽」とピッタリだが、帽子用ではなかった。夜会服(えん尾服)用だったドレッシーな生地を、学童用の帽子という正反対の用途に転用した「知恵者」がいたのだ。
(つづく)