ジェレミー・ホームズは、ロンドン・ベーカー・ストリートを離れ郊外に出掛ける場合には、おなじみのディアストーカーをかぶり、同じ生地のインバネスを着る。当時のカントリー・ウエアのコーディネートだ。彼がこの着こなしでテレビに出たのは「まだらの紐(ひも)」だった。相棒のドクター・ワトスン(デビット・バーク)もカッコいい。
ワトスンはいつもホームズよりカジュアルな服装で出演する。例えば、ホームズがクロック・コートを着ていたらサック・スーツ。ホームズの帽子がシルク・ハットならワトスンはボウラー(山高帽)といった具合い。また、ワトスン役はデビット・バークとエドワード・ハードウィックが演じている。
グラナダ版のホームズ・シリーズは、ストーリーもさることながら原作の世界(19世紀末)ヴィクトリア朝時代の風俗、ファッションを忠実に再現して見事。当時のロンドンは現在の背広のルーツをはじめ、メンズウェアの宝庫、服飾図鑑の1ページをのぞく思いがする。
(おわり)