靴磨きの英語には2つある。「SHOE SHINE」と「SHOE POLISH」。シャインは主に米国、英国はポリッシュが使われるようだ。
敗戦国日本はアメリカの影響大、靴磨きも米国流シャイン文化を受け継いだのはごく自然の流れといえる。当時、一番上等な靴墨は「K」という薄い缶に入ったワックスだった。街のシューシャインボーイも、日比谷の名人もこのワックスを使っていた。
早速まねてアメ横で仕入れたワックスを使ってみた。それまで使っていた国産のクリームと違ってよく光った。いつの間にかガラス瓶入りクリームは靴箱から追放された。
ヨーロッパからも靴が輸入され、米から欧へと日本人の靴の好みも移っていった。そして靴の手入れ法も変わった。「シャイン」(つやを出す)から「ポリッシュ」(こすり磨く)へと。気がつけば、わが家の靴墨もワックスからクリームへと戻っていた。
(おわり)