「初詣」には何を着るべきか。
昔は礼装で参拝したものだった。男性の紋付羽織袴、女性の振袖姿が珍しくなったのは何年頃だったか。いつの間にかカジュアル化し、いまや初詣だからといって服装に気をつかう人は少数派だ。
わが身を振り返ってみる。初詣といえば決っていた。ダッフル・コートが圧倒的。温かい上にデザインも正月に向いていると、勝手に決めていた。
元々は英国海軍の制服だから、寺社に着て行っても失礼には当たらない、などと理屈を付けてダッフルで押し通していた、それも同じコートで。このコートは1972年、厳冬のスコットランド行きに合わせて購入したのだから、今年で49年になる。これぞ今はやるの「持続可能」のお手本みたいなモノ。
愛用…いや、偏愛のダッフルを今年の初詣には着なかった。コート自体はいまだにしっかりしているのだが、着る方がへばってきたからだ。
(つづく)