機能の話題になると、これを外すことはできない。ナイフだ。
以前、ある雑誌編集長と「機能」について議論を交わした経験がある。
初めのうちはいま時の若者のファッションについてだった。いい悪いの、わかるわからないなどと話は尽きない。
いつか話題は機能に移っていた。いまの家電製品は機能が複雑すぎて使いづらいとわたし。彼は多機能支持者だった。1つより2つ、機能は多いほど便利と主張する。単機能対多機能の争いに話は進む。
わたしは身近なアイテムとして、ナイフの多機能と単機能を取り上げた。釣りのナイフの機能を身にしみて感じていたところだったので、つい力が入る。
多機能派の彼は言う。1丁で何にでも使えるナイフは最強、これさえあればほかにはなにもいらない、と主張して一歩も引かない。
世の中スイス製多機能ナイフがトレンドだった頃。
(つづく)