シャツの裾をズボンの外に出す着こなしは、いまや何の抵抗もない。やる方も見る方もだ。

ま、これは時の流れ、いたしかたあるまい。ひとつ困るのは、シャツをアウターで着るようになると、シャツの着丈が短くなること。バランスを考えると、従来のシャツ着丈では長すぎる、ジャケット並みの方が美しい。シャツの着丈はどんどん短くなった。

わたしのような、シャツの裾はズボンの中へ入れなければならない派にとって、丈の短いシャツは落ち着かない。ちょっとした動作で裾がはみ出るからだ。

昭和のドレス・シャツの着丈はたっぷりあった。上等なシャツほど長かったものだ。そもそも西欧でのドレス・シャツ初期、男どもは下着のパンツをはかなかった……というよりもパンツはまだ無かった。シャツの裾を股の下へ回して着たのだ。

いま、そこまで長さの必要はないが、やっぱり長い方が年寄りは安心する。

(おわり)