英国式カレーを手本にした日本では、カレーの調理法が紹介された5年後の、1877(明治10)年には、東京の「凮月堂」で1皿8銭で売り出したとの記録が残る。

さて、当時の8銭が高いのか安かったのか見当がつかない。何か手がかりになる物の値段はないものか。
 見つけた。明治10年の「そばの値段」だ。「そば(もり・かけ)8厘」と出ている。厘とは貨幣の単位で、円の1000分の1、銭の10分の1を表すが、わたしは厘を知らない。

そば8厘時代にカレーは10倍もする高級西洋料理だった。令和元年、そば屋の「もり・かけ」700円とすると、142年前、カレーは7000円もしたことに。高い!

現在、安いカレーショップだったら700円で食える、なんとありがたい時代になったことか。カレーが日本の国民食となった裏には100年以上にわたるたゆまぬ努力があったことを忘れてはならない。カレーよ、ありがとう。

(おわり)