カレーの話に戻す。

記録上、最初に日本でカレーの調理法が紹介されたのは1872(明治5)年、文明開化で西洋化の波が押し寄せる中、相次いで出版された「西洋料理指南」「西洋料理通」に作り方がある。横浜の外国人居留地に暮らした英国人のメモを翻訳したもの。

どんなカレーだったのか? 使う野菜は長ネギだけ。明治の初めごろ、タマネギは日本では広く普及していなかった。「西洋料理指南」では、薬味のショウガやニンニクと一緒にバターで炒め、水を加えて鶏、カエル、海鮮などとの具を投入。輸入のカレー粉や小麦粉も入れて煮込むとする。

カエル・カレーが本格的とは思えないが、当時のイングリッシュ・ジェントルマンはこんなモノを食っていたのだ。

元々、カレーの本場はインドとその周辺。18世紀、英国人がインドから母国に持ち帰り、小麦粉を入れ、欧風カレーになったとされる。

(つづく)