昨年12月8日から今年の2月17日まで、「タータン 伝統と革新のデザイン展」が三鷹市美術ギャラリーで開催された。

昔のKENTのタータンのパンツを、数少ないメンズファッションの参考品として出品した。いまならなんてことのない男物パンツだが、商品化した1967年はちょっとした騒ぎだった。

そもそもの始まりは、業者が持ち込んだ生地見本からだった。4柄ほどのタータンを何か使えませんかと机の上に広げた。当時、タータンは女性向けチェックで、都内に何軒かタータン・ショップがあった。

見ているうち、パンツにして紺ブレとコーディネートしたら売れるのでは……と、ひらめいた。4柄の中で地味な2柄を取り上げ、ベルトレスのスラックスにした。

結果は散々だった。人一倍おしゃれなVAN社員にもウケなかったパンツが、メンズショップで売れる訳がない。革新には時期尚早。

(つづく)