VANはタータンに手を出さなかった。というのは、1960年代前半、タータンは女性向けと思われていたからだ。

60年代、チェックといえば「ギンガム」全盛。赤と白、黒と白に人気は集中していた。そんな中、VANが力を入れたチェックは「マドラス」だった。

マドラスはインド産だが、日本へはアメリカ経由上陸した。初めて見た時は、なんだかやぼったく、好きになれなかった。石津謙介のイチオシで、マドラスを使ったジャケット、シャツやバミューダなどを商品化した。「アイビーはマドラス」のキャンペーンの効果もあって大ヒット。「みゆき族」のころ。

タータンに話を戻す。 VANではなく、KENTが初めて商品として送り出した。67年、2柄のパンツを作ったのだが、時期尚早まるで売れない。責任感じて毎日のようにはいて歩いた。振り返られるくらいに男のタータンは物珍しく、破廉恥だった。

(おわり)



▼▼▼くろすブログスタッフより~ 東京・三鷹で開催中の「タータン 伝統と革新のデザイン 展」に関連して、2019年1月にくろすとしゆきが登壇するトークイベント(要申込)がございます。ぜひご来場ください!

対談「戦後のメンズファッションとタータン」【詳細】

くろすとしゆき(服飾評論家)×石田原 弘(神戸タータン協議会会長、神戸松蔭女子学院大学非常勤講師)

【日 時】 2019年1月6日(日) 14:00~
【会 場】 三鷹ネットワーク大学 ※展覧会場とは異なります
三鷹市下連雀3-24-3 三鷹駅前協同ビル3階
【参加費】 無料
【定 員】 70人
【申込方法】 三鷹市美術ギャラリー(0422-79-0033)へ電話予約(先着順)

主催:三鷹市美術ギャラリー・公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団 ※三鷹ネットワーク大学共催