マンボを踊る時にはいたのが細いズボン。裾口は7インチ(当時、洋服の寸法表示はメートルではなくインチだった)。
細いズボンは劇的にカッコよく見えた。ものまね大好きだったわたしは、早速近所のお直しの店へ学ランのズボンを持ち込み、裾口をつめてもらった。7インチというと約17.5センチ、かなり細い。
その頃(1955年ごろ)、トップファッションだった「マンボ・スタイル」または「マンボ・ルック」を解説する。ズボンは7インチ、色は黒。細いサスペンダーで吊るしてはいた。シャツは白、「ロール・カラー」と呼んでいた大きく、高い襟腰でなければ仲間に入れなかった。爪先のとがった黒靴で、靴下は赤。ヘアスタイルはグリースこてこてのリーゼントがマンボ・ルック。
いま、あの頃のマンボ・ズボンを見たら吹き出すだろう。裾口が細いだけで、ウエストはツウタックでぶかぶか。とっくりを逆さにしたような珍妙なシルエットだった。
(おわり)