先日、懐かしい言葉に出合い、時計の針が逆回転した。

それは「マンボズボン」だ。半世紀以上、この言葉を耳にしたことも、目にしたこともなかった。若い人はもちろんのこと、マンボズボンを知っている人といったら、80才以上の世代のはず。

「兄にもらった裾が細いマンボズボンをはいて……」と語っていたのは川淵三郎(81)。東京新聞連載「この道」の中でのことだ。

「細いマンボズボン」といわれても、何のことか分からない人が多いと思う。ズボンを説明する以前に、まず「マンボ」を解説しよう。ラテンミュージックの一種で、ペレス・プラドというミュージシャンが創案したといわれるルンバに近いリズムのダンスミュージック。1940年代半ばといわれる。

10年ほど後に日本上陸、簡単なステップが受け、マンボダンスは日本中の若者たちの間で大ブレーク、「マンボブーム」を起こす。

(つづく)


出典:Discogs®