邦題『灰色の服の男』という映画が学生時代に公開された。原題は『THE MAN IN THE GRAY FLANNEL』。主演はグレゴリー・ペック―――彼の名はわれわれ世代には懐かしいが、いまの人でこの名を知る人はまずいないだろう。
ペック主演だから真面目な映画だろうと思い見なかった。あの頃(1956年)、アメリカ映画は大好きだったが、もう少しエンタテイメント系に片寄ってた。いまにしてみれば、灰色服とはどんなタイプのアメリカ人を指すのか、この目で確かめておくべきだったと後悔している。
想像だが、灰色の服とは将来を期待されたエグゼクティブの代名詞だったのでは……。
フランネルは英国ではスポーティな素材だが、米国に渡ると、ビジネス・ウエアを代表する生地に格上げされた。そして、グレイという色が保守的、しかも真面目さを表す色として定評があったのではないか。
(おわり)
出典:wikipedia