卒業シーズン。
学生服の第二ボタンを贈るという美しい? 習慣はいまもなお続いているのだろうか。
実は、わたしの学生時代には存在しないセレモニーなので、いまだあの行為は謎につつまれている。
中学、高校と男子校だったので、女子にモテようという考えはなく、汚い学ランを気にすることなく毎日着まくっていた。毎日着ているというのにクリーニングは年に1回しか出さなかったからさぞ臭かったに違いない。
中学、高校、大学と制服、制帽着用が校則。黒の詰め襟に校章入り金属ボタンが付く。ボタンは1年の時はピカピカだが、卒業のころになるとくすぶって貫禄がつく。それにあこがれ、金ピカのボタンをローソクのすすであぶったり、薬品に漬けるなど、人知れずアンティーク仕上げに熱中した。
いま思えば、ボタンをアンティークにすることが唯一のおしゃれだった青春の日々。
(つづく)