極冬のスコットランドがどれくらい寒いのか見当がつかない。ともかく防寒コートが必要。いまだったら軽くて温かいダウン・コートがあるが、46年前はない。当時、防寒コートといったらポーラー・コートかダッフル・コートぐらいしかなかった。両方共に軍用品がルーツだから機能的には信頼がおける。

さて、ポーラーを着るには年を取りすぎていたので、ダッフルに決めたのはごく自然の流れ。どこのダッフルを買うかだ。VANやKENTのダッフルは手掛けたので良く知ってはいる。デザイン的には自信はあったが、スコットランドではたして通用するのだろうか、機能的に不安が残る。都会の若者向けに企画したので、吹雪の中で着ることは想定外だった。

当時、ダッフルはいまほど種類がなく、輸入品は一種類しか市場になかった。英国製のバックチェック・メルトンの生地の厚さにほれ込んで決めた。これならブリザードにも負けないだろう。機能優先だった。

(つづく)