「TAKE IVY」最初の訪問校はハーバード大だった。第一印象、あまりにもラフな服装なのでがっくり落ち込んだ。本場の大学生はアイビー・スーツにレジメンタル・ストライプ・タイで決めていると思い込んでいたからだ。当時の日本(1965年)ではアメリカの大学生がどんな服装で通学しているかの情報はまったく持ち合わせていなかった。

あわただしく日本を離れる前につくり上げた「メンズ クラブ」“アイビー特集号”は、まさしく「ビフォー」「アフター」の見本のような一冊。まだ見ぬ本場アイビー・リーガーは、きっとこんなカッコをして、こんな遊びをしているにちがいない、という思い込みの集大成。

「見ると知るとは大違い」の言葉通り、われわれは大いなる勘違いをしていた。逆な見方をすれば、行ったことも、見たこともない外国の風俗を、想像だけで一冊の本につくり上げた日本人の器用さに、いま改めて関心する。

(おわり)