「長沢節スタイル画教室」の記事が新聞に掲載されたのは1年後くらい。早速電話をした、入学資格などを聞くためだ。電話口の男の人はこう言った。「今度の土曜日からおいで」。あまりの軽さに気が抜けた。後で分かったのだが、電話の主は先生ご本人だったのだ。
こうして、めでたくスタイル画教室の生徒になった。教室は1年前に開校したばかりで、生徒は20人ぐらい。毎土曜日の午後、ファッション・ドローイングに汗を流す日が続いた。
教室の空気にも慣れ、周りが少し見えるようになった。生徒のほとんどは女性、男性は先生を入れて2~3人。その中に1人、細身のおしゃれさんがいた。ハンチングに太い黒縁メガネ、4~5才上だろうか。ある時、恐る恐る話しかけてみた。話してみたら気さくな人で、メンズファッションに造詣が深いのが分かった。
後々、わが人生に大きな影響を与えることになる穂積和夫さんとの出会いである。
(つづく)