「懐かしの服地 ギャバジン」
生まれて初めての「洋服地」-和服に対し、洋服に使用される服地を昔はこう呼んだ。和から洋へと生活様式が移る時期に起こる現象-。衣に限らず食・住にも同様のことが起きた。例えば食器。和食器の中に洋風の器が加わりだしたころ「西洋皿」と特別に呼ばれる皿があった。実家台所の食器棚に西洋皿が揃っていたのを覚えてる。クリーム色の皿で、縁にカラフルな花模様がついていた。どこから見ても和風食器より色が美しくてカッコよかった。
西洋皿は月に数回食卓に並んだ。大好きなカレーやオムレツの日だ。太平洋戦争が始まる前の話。
ところで、初めての洋服地は戦後のことで、中学生になっていた。忘れもしない「ギャバジン」という名。どんな服地か分からないが、ギャバジンがはやっていた。そしてもうひとつ「ラバーソール」も。
(つづく)