先日、カジュアルなパーティーによばれた。スーツ姿は少なく、ジャケットやブレザーが多く見られた。
中年、いや初老というべきかおしゃれな紳士がいた。ネイビーのダブルブレストのブレザーにチェックのパンツ姿が決まり、いかにも着慣れた雰囲気に包まれていた。ブレザーの左胸には由緒ありそうなエンブレムが付いていた。手の込んだ刺しゅうの美しいデザインだった。
聞くとはなしに聞いていると、グループの1人が「ワッペン」と言ったのが引っかかった。たしかに1960年代はワッペンといった、なにも分からずに。ところが、あれはドイツ語で、英語だと「エンブレム」と知り、ワッペンという人はいなくなった。今年に入り、2020年東京五輪エンブレムのデザインが問題になった。国際オリンピック委員会(IOC)が定めたエンブレムとは、紋章のことではなくシンボルマークを意味していた。
(つづく)