あこがれのポロ・コートの袖に手を通したものの、完全にコートに力負けした。なんとか着こなしてやろうと、親の敵のようにひと冬着続けた。手ごわいコートだった、あいつは…。
だが、それを機に「キャメル」という色に興味を持つようになった。ひと口にキャメルといっても微妙に違う、ちょうど「カーキ」にもいろいろあるようにだ。あれこれ試してみたが好きなキャメルは、グレーによくマッチするラクダ色だ。
現在手持ちのキャメルというと、Vネックにタートルネック・セーター。ジャケットやパンツと相性がよく、重宝している。ニットのほかには手袋、マフラー、帽子などがある。合わせやすく便利な色だ。そしてコート。ポロ・コートはとっくの昔に後輩にゆずり、いまあるのは1972年に買ったダッフル・コートだけ。厳冬のスコットランド取材に国産では機能的に不安があったので、英国製を無理して購入した。今年で44年、ビクともしない頼りになる良き相棒である。
(おわり)