ひと口にグレーといっても、黒に近いチャコール・グレーから、白っぽいライト・グレーまで、かなりの幅がある。日本の伝統的色名の中に「四十八茶、百鼠」という表現がある。ブラウンは48色だが、グレーには100色もあるという意味。
そういえば、子どものころはグレーなんてしゃれた言葉は知らず「ねずみ色」と呼んでいたことを思い出した。いまの若い人たちに通じるだろうか。ねずみ色のほかに灰色という言い方もあった。
「鼠色=ねずみの毛の色。青ばんだ淡い黒色。灰色。ねずみいろ」。一方、「灰色=灰のような薄黒い色。鼠色。主義・主張などのはっきりしないこと」とある。「広辞苑」より。たしかに「灰色議員」などという言葉を聞いた覚えがあるし、「グレーゾーン」というあいまいなことを指す言葉もある。
上品で落ち着いた印象のグレーは一方で、黒白がはっきりしないあいまいなことを指す色でもある。
(つづく)