ビル・カニンガムの衣食住はまさに「シンプルライフ」そのもの。
彼は遠の昔に「見え」を捨て、なんのこだわりも持たないライフスタイルを確立した。その姿はまるで修行僧のようにさわやか。

こだわらない衣食住とはいえ、そこにはビルの美学がある。
例えば、彼のトレードマークになっているカバーオールひとつ取り上げても、並ではない。
パリの道路清掃員が着ているヤツ。フレンチブルーのジャケットは、彼に言わせると「丈夫で機能的、そして安い」。
こんな服を見付けてくる「ビルズ・アイ」が素晴らしい。その上、着こなしに品がある。
中退とはいえ、アイビーリーグの名門校ハーバード大の出身者だ。

洗いざらしのカバーオール、29台め(28台は盗まれた)のボロ自転車、旧式の手巻きのフィルムカメラ(日本製)など、彼が愛するモノたちはすべて美しく、輝いて見える。
ビルはこう言う「ニューヨーカーは物を祖末にしすぎだ」と・・・。

(おわり)

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