取材のために渡米する記者に、50年前の様子をできるだけくわしく伝えるために時間を使った。
校風の違い、ファッションの差などについて話すうち、50年という時の壁はどこかへ消え去り、
まるで昨日見てきたかのように熱を帯びる自分にびっくりした。

昨日どころか今朝何を食ったかも思い出せない今日このごろというのに、
半世紀も前の学園のニオイまでよみがえる不思議さ。
「TAKE IVY」はわたしにとって、単なる海外取材のひとつではなく、
キザな言葉だが「青春」そのものだったことに気付く。

青春ゆえの無謀、爆発、失望など、あらゆる出来事があの限られた時間の中で混然一体となっていた。
いま、あらためて思う。1965年初夏、アイビーリーグのキャンパス風景が凝縮された「TAKE IVY」は、
わたしにとっての「青春グラフィティー」だったと。

わたしの青春をポパイの取材スタッフがどう再現してみせるのか。

(つづく)

160129