ひと昔前までは「上品な着こなし」などと口にしたものだったが、いまや上品は死語に近い。
近ごろのファッションは「今っぽい」「トレンド感」など、新しさが売り物で、品の善しあしは問題外となった。
服は新しいが品がない人、服は新しくはないが品がある人、どちらを善しとするかである。

話題を衣から住へと変える。最新の北欧家具は魅力的だが、
フィフティーズ(1950年代)や、ヴィクトリアン(1837~1901年)の家具もまた美しい。
わたしはモダンデザインよりもアンティーク家具に引かれる。
50年、150年以上も経ったいまも輝き続けるにはそれなりの理由があるはず、ただ古いだけではない。

住に比べると、衣の世界は価値観が片寄る。
一方、「ノームコア(究極の普通)現象」へ関心が向かい始めた。
上品という切り口で、ファッションを見直す時期にきているのでは。
目指すは21世紀の「チェスタァフィールディアン」だ。

(おわり)

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