「少年探偵団」シリーズと初めて出合ったのは1944年、小学4年生だった。
元々本を読むのは好きだったが、「探偵団」はそれまで読んだどの本よりも刺激的。
冒険のドキドキ感、真相にたどりつくプロットの面白さなど、小学生を夢中にさせるには十分すぎた。
44年というと、太平洋戦争のド真中で、東京にも危機感が広がりつつあった。
この年の春、帝都の子どもたちを守るため、田舎へ疎開するようお上より指示が出された。
同級生も1人また1人と地方へ転校していった。
疎開する田舎がない児童は学校が用意する安全な場所へ「集団疎開」することが決まった。
両親が東京で疎開する知り合いもないので、学童疎開に参加することにした。
小学4年から6年までが田舎で共同生活を送るという、いまでは考えられない事態である。
親は心配したようだが、わたしは遠足の延長ぐらいの楽な気持ちで参加。
親元離れての毎日がどれほどのものかをたっぷり味わった。
そんな中、唯一の楽しみが「少年探偵団」を読むことだった。(つづく)