80才になったくろすとしゆきはこれまでとちっとも変わらない。
リビングルームでカーディガンを羽織って、ロッキングチェアに座り、
ランデーグラス片手にくつろぐことはないし、ドレスアップにループタイをすることは絶対にない。

ところで、あの「ループタイ」という名の奇妙なアクセサリーは誰の発案だ。
ネタ元はカウボーイの「ボーロー(BOLO)」だろう。
ウエスタン・アクセサリーを見事に和風にアレンジ、いまや「和装」。
留め具はまるで和風の「帯留め」で、自慢のしどころ、見せどころ。
人間国宝の「作品」が輝く高価なループタイ、ロープタイ、中にはポールタイなんという訳の分からないものまで。

わたしは、ループタイをしない偏屈な「アイビーじじい」を目指す。
人生は80から。90になったら「蔦翁(アイビーのおきな)」、
なにかのはずみで100才までくたばらずにいられたら「蔦聖(アイビーのひじり)」と名乗ろうか。(おわり)