Maker's shirt 鎌倉

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くろすとしゆきオフィシャルブログ

287:ディープ・オリーブのジャケット


いくら気に入ったコーデュロイでも、幻で終わっては意味がない。

「アイビー・アーカイブス」今年の秋冬用として取り上げた中コールはイタリア生まれ。「DUCA VISCONTI社」製。なにより色の美しさにひと目ぼれ。秋の森に溶けこむような深いグリーン。わたしはこの愛すべきコーデュロイの色に「ディープ・オリーブ」と命名した。

1インチ(約2.5センチ)に5WALEのディープ・オリーブでジャケットを仕立てた。スタイルはお約束、オーセンティック・アイビー・リーグ・モデル。3つボタン上2つ掛けのモデルではボタンが意外に目立つ。あれこれ迷ったが、1960年代風、革のバスケット・ボタンに決めた。

さて、このジャケットを着てどこへ行く? あまりおしゃれっぽく決めないで、もう何年も着続けているのサ、といった「さりげない」コーディネートがよろしいかと……。

(おわり)



くろすとしゆきの『あいびい あーかいぶす』2019AW新作・コーデュロイ・ヂャケット(色:ディープ・オリーブ)の特集ページが8/30(金)に公開予定!と同時に、一般販売開始となります。お楽しみに!

286:幻のトレンチ・コート


好きなREGULAR-WALE(中コール)だが、苦い思い出がある。

VAN時代(1961~65)、コーデュロイはよく使った。中でのヒット作は「スパニッシュ・コート」。太コールの身頃に大きなウールジャージーの襟が付くショートコート。元日の「ライス・ボウル」観戦にピッタリのスペクテイターコートだ。

KENT(66~70年)でコーデュロイは使わなかった。理由は、コーデュロイ=キャンパス用素材のイメージが定着していたからだ。一度だけ取り上げたことがある。いい中コールが手に入ったので、大人のトレンチ・コートに仕立てた。色はコーヒー・ブラウン。軍用品に近い本格的モデル。試作は思った通りのヘビーなつくりで大満足。量産にかかったのだが、縫製工場から電話が入った。「とてもじゃないが手間がかかりすぎ。かんべんしてください」。

たしか1~2着が世に出ただけという、幻のトレンチ・コートとなった。

(つづく)

285:秋の定番「コーデュロイ」


毎年のことだが、この時季になると秋は何を着ようかと、頭の中が動き始める。

といってもわたしの頭だ、とてつもないアイディアなど浮かびっこない。ごくごく当たり前……昔からあった素材である。例えばツイード、例えばコーデュロイ。いずれも定番中の定番、今さら…といわれるスタンダード。

だが、ひと口にコーデュロイといっても、ウネの広いものから細いもの。カラーにいたってはおなじみの色もあればニューカラーもある。また、産地もさまざまで、日本、英国、イタリア製など。お国柄というか、国によって微妙に色の好みが違う。

コーデュロイの特徴はあのウネ(WALE)にある。広さによって「WIDE-WALE(太コール)」、「REGULAR-WALE(中コール)」そして「PIN-WALE(細コール)」がある。太コールはコート、ジャケット、中コールはスーツ、パンツ、細コールはシャツ用として使われることが多い。わたしが好きなのは中コールだ。

(つづく)

284:「窮屈袋」とは


西欧と比べて靴の歴史が浅いわが国では、靴に対する価値観に差があるのは当然。

明治維新以降、西洋靴は別名「窮屈袋」、面倒な「袋」と思われてきた。たしかに草履や下駄のように足がオープンな履物しか知らなかった人たちにとって、靴は窮屈で面倒な代物だったに違いない。

生活の西欧化に伴い、着物は洋服、下駄は靴へと変わった。だが、変わらないのは家に上がる時に靴を脱ぐ習慣。西欧人は土足のまま家の中に入る。 

靴は普及したが、家に上がる時に靴を脱ぐことだけは変えられなかった……いまも。その都度、靴ひもを緩めたり締めたりする「面倒な」作業と共に。

サイドファスナーは画期的な発案だった。「脱ぎ履きカンタン」になった。だが、あれはどう見ても「美しくない」。「機能」を優先するか「美」をとるか、善しあしではない、自分はどちらが好きかの問題。わたしは嫌いだ。

(おわり)



『座敷即席一口噺し』伊藤竹次郎 1885年

283:サイドファスナー付きシューズ


「平成の困ったファッション」その2。

「令和」の御世になって思う事。平成はファッション業界にとって、いいニュースなどひとつもなかった、困ったことばかり。忘れないうちに書き残しておく。

第1回の「フェイク・ボタンダウン」に次いで書いておきたいのは「サイドファスナー付きシューズ」。「さかさメガネ」を読む方の中にはいないと思うが、靴の横にファスナーが付いているヤツ。このテの靴(ウォーキング・シューズに多い)のコピーには「脱ぎ履きカンタンです」と書いてある。

ここで「良い靴」の条件を考えてみよう。靴に脱いだり履いたりの行為は付いて回る、履いた靴は必ず脱がなければならない。西欧のように、朝履いた靴は夜、ベッドに入るまで脱ぐことのないライフスタイルと違って、日本の生活は1日に何回か靴の脱ぎ履きを繰り返す。その都度、靴ひもをほどいたり結んだりしなくてはいけない。これが面倒!

(つづく)

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