『メイド トゥ メジャー(MTM)』――「サイズをお測りして、そのあと、製作いたします。」という意味であり、「お客様の“好きなデザイン”あるいは“お好みのシャツ”をお作りします。」ではありません。
お客様はシャツあるいは洋服のプロではありません。
その方が“望む服”をお作りする事は、私たちにとって正確にはサービスとは言えません。西洋で発達した洋服文化、特にメンズウェアにはルールが存在します。そのルールから外れたデザインを要求されても、それは究極、お客様の為にならないのです。
また、好きな服がその方に似合うとは限りません。自分の服装は自分で評価するものではなく、対峙する相手に対する礼儀であるので「相手がどのように自分を評価するか?」が重要なのです。その意味で、自分のサイズにぴったりと合った“ジャストサイズを着る事”が最高のお洒落の入り口です。
そのデザインも、私たちが既製服の中で提供している範囲でなければ、例えジャストサイズでお作りしても、お洒落かつセンスの良さを保つ事は不可能です。
すなわち、お客様に既製服では味わう事の出来ない“ルールに則ったジャストサイズ”を提供しご着用いただける事。それがMTM の魅力なのです。
残念ながら日本には洋服文化がありません。
其の為、多くのアパレルが日本人の気づかぬ間に“とんでもない洋服”を作り上げました。“デコラティブなシャツ”が大手を振ってまかり通っていますが、欧米の知識人から見れば「何と奇妙なシャツ」と思われているのです。
ルールの無いカジュアルウエアは日本流でも良いでしょうが、ビジネスや社交的な場面で着用するシャツやスーツなどは、ルールに従ったほうが国際社会において尊敬を集めると言っても過言ではありません。
私たちの使命は、「日本人にもっとお洒落になっていただき、国際社会の場面で活躍していただく。そして、そんな方々を応援する。」事です。お客様が望めば…売り上げになれば…何でもお作りします。と言う事は出来ません。そしてプロとして、本当にお客様の為になる『メイド トゥ メジャー(MTM)』をお勧めさせていただきたいのです。
…余談ですが。ゴルフクラブを特別注文(MTM)で作るとき、その人の体型や筋力などを計測してから作りますが、それがプロの仕事です。顧客の好みで作る事は決して親切ではありませんから。
鎌倉シャツ会長「貞末良雄のファッションコラム」アーカイブはこちら
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