スーツは鎧だ。甲冑だ
スーツ姿というのは、ビジネスという戦場で着る、戦いのための服装です。いわば、鎧(よろい)、甲冑(かっちゅう)のようなもの。体にぴったりとあうスーツをまとい、ネクタイをきりりと締めて、緊張感を作り出し、自分を奮い立たせるものなのです。中にはリラックスできるからと、ゆったりめのスーツを好む人もいるようですが、緊張感なくしてリラックスなどありえません。
そして鎧や甲冑というのは機能性だけではなく、洋の東西を問わず、見た目にも気を使っていた。ある時は威嚇し、ある時は思わず目を奪われるような鮮やかな姿で、相手を精神的に圧倒したわけです。
現代の戦い、すなわちビジネスにも同じことが言えます。対人コミュニケーションにおいて、ノン・バーバル(言語以外の)情報が、言葉よりはるかに多くのことを伝えている、ということをよく認識したほうがいいでしょう。話す人の服装というのも重要な情報です。それを意識することで自信が生まれ、さらにプラスの効果を生み出します。お互いの利害関係を調整する交渉の場であればなおさらです。
服装より中身だ、という人もいるかも知れません。ですが、グローバルにビジネスを展開しようとしたら、そんな悠長なことは言っていられません。1回の会議やプレゼンテーションでYES、NOの結論がほぼ出てしまう事は珍しくない。服装を軽視しては、成功は望めないでしょう。欧米の人は特に服装を良く見ているし、話題にもします。それは、相手が自分と共通の目的を理解できる人間なのか、そうではないのか、服装から読み取ろうとしているのです。
スーツ姿は、セクシーだ
スーツを着こなしてビジネスに取り組む姿が、実は非常にセクシーなものであるということを、どれほどの日本人が理解しているでしょうか。英国で生まれ、長い年月をかけて育まれてきたスーツには、男性をいかに美しく見せるか、という叡智が詰め込まれています。そして、それが戦いに臨む服装であるということが、そこにセクシーさを加えるのです。死への一里塚に立った戦士が、あでやかな甲冑を身にまとう。それは究極のダンディズムであり、男女を問わず、人をひき付けてやみません。
スーツを買うことは自分への投資だ
戦いの服であるスーツやシャツを選ぶのを、人任せにしてしまうのはいただけません。自分に似合うもの、自分を強く、魅力的に見せてくれるものはどういう服装なのか、自分なりによく考えてみることです。そうすることで、自分の外面的な体型だけでなく、内面的な部分までを見直すいいきっかけになります。「こういう服を着こなすためには、自分のこういうところをもっと磨かなくてはだめだな」と思う事もきっとあるでしょう。また、まわりの人に自分はどういう服が似合うか、と尋ねれば、他人が自分をどのように見ているかがよく分かります。そこから学ぶことも多いでしょう。さらに購入するときには、お店の人など、詳しい人間の意見もよく聞く。こうして、服装を整えながら、自分も磨き上げていくわけです。
言ってみれば、スーツやシャツ、ネクタイなどをそろえ、着こなし、また自ら手入れをすることは、自分への投資。自己研さんとして考えると、本をたくさん買い込んで勉強したり、学校に通って技能をみにつけたりすることに比べれば、ずっと手軽ですし、楽しいものです。ぴんとこない、という人は、とりあえずシャツとネクタイだけでも工夫してコーディネートしてみるといい。それなら1万円程度で済みますが、おそらくそれだけでも、同僚や友人から「おっ、いいね」という声が返ってくるはず。その快感を味わったら、きっと服装に対する意識が変わってきますよ。
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