貞末 約35年前、柴山先生はエーボンハウスに、私はヴァンヂャケットにおりました。ヴァンのスーツ・ジャケットはどうしてもエーボンハウスにかなわない。大阪で営業部長をしていた当時、何でこんなに良いものが作れるんですかと当時の社長を訪ねました。「実はうちには柴山という宝が一人いて、彼の指導の下、ものづくりしているんだよ」と聞き、すごい方がいるんだなぁという印象がずっとありました。
柴山 貞末会長には、2003年、日本モデリスト協会(モデリストとは縫製ができて型紙製作から工場指導ができるスペシャリスト)で講演をしていただきました。その頃から貞末さんは新聞によく出られていて話題のシャツ屋さんでした。もちろんそれ以前から存じ上げておりましたし、その後の鎌倉シャツの隆盛をずっと見聞きしていましたよ。
貞末 あの講演はもう13年前ですね。丸ビル店がオープンした頃でした。2010年に、日本のものづくりを守ろうという「日本発ものづくり提言プロジェクト」が立ち上がり、お互いメンバーとしてディスカッションする場面がありましたね。その会の始まりに、控え室でお話する機会も増えました。実は、鎌倉シャツをはじめる以前から柴山先生のお力をお借りしたいと思っておりましたが、先生は著名でお忙しい方だからなかなかアプローチできず…
今日、NYに店を構えた鎌倉シャツは、世界中から既製品でも細かいフィットを要求されます。日本人ならできるはずだと言われるんです。そんな時、ナポリドレスシャツが発売になりました。そのフィット感で、身体が感じるちょっとした着心地の違いに気付きました…これを日本で完成させるには世界的なモデリストである柴山先生にお願いするしかない!と心に決め、75歳で引退したいとおっしゃる柴山先生に、なにがなんでもお願いします、75歳まであと5年はやって欲しいと…やっと、世界と戦っても勝てるシャツ作りの土台が整いました。
柴山 提案に来られてから、あれよあれよという間に話が進みまして(笑)。私の性分として、引き受けたからには気持ちごと移入しようと。私はスーツが専門なんですが、シャツはその外せない相棒です。シャツに関しても失敗を重ねて学んだ経験がありますし…そういう全てが活かせるのは嬉しいですね。
貞末 もちろん、型紙に関しては今までも立派なものができていたと思うんです。ただ、縫製業というのは設計図(=型紙)ができても製造部隊がそれを形にできるかどうかは全くの別問題なんです。そのために、設計者が製造現場に行って設計図通りにものができあがるように指導する。それができるのは、工場からスタートされたれた柴山先生しかいないんですよ。工場で実際に縫って見せて、素晴らしい設計図をかける人は、世界中にもひとりかふたり、それがモデリスト柴山登光。なんとなく日本で作っているからメイド・イン・ジャパンではなく、日本製とはこういうものだと言いたい。そして、シャツは構造物だということ。構造物を作るという概念が今のアパレルにはない。ただファッションすればいいというのでは、お客様の着心地には反映できない。一番身体に近いシャツと言うテーマに全力を挙げて世界制覇を目指すことが今の目標です。
柴山 私の洋服人生はテーラーから始まりました。はじめにものづくりがありきで、そこにパターン(=型紙)があって…工場が縫いやすいパターンとはどういうものかを今の私にはわかります。メーカーにパタンナーがいても結局パターンを工場に流すだけ、それだけでは良いものはできないんですよ。自分の作るパターンの特徴や注意点をわかった上で、どのように完成させるのかを伝えないと…工場側もできたパターンを受け取って縫うだけでは、そのメーカーの雰囲気は反映されませんからね。そういう伝達のできる人が今はほとんどいないし、ましてや海外で製作していたり、商社に丸投げしたり、企画の思いはあっても、どこも60%程度の完成度ではないでしょうか。
柴山 シャツは元々下着でしたが、スーツの下に着るようになり…今や上着を脱いでシャツがアウター化していますね。まずは、スーツの下に着た時のVゾーンをいかに美しく見せるか。では、ネクタイをしない時はどうか、アウター化した時は。いかにバランスをとるかが大事です。今回は胸元やネクタイを外した時の収まりをより美しく見せるよう設計しなおしました。先ほど貞末会長もおっしゃいましたが、イタリア製のシャツは工場で普通に縫っていてもなにか着心地が違う。縫う工員達の手つきは彼らには普通なんだけれど…その感覚の違いを日本で再現するにはパターンだけでなく、ミシンのテクニックが重要。ミシンの縫い方向違いによって起こる現象にテクニックが入るとシャツに表情が出るんですね。バランスとシャツの表情、さらにそれに伴う着心地、ネクタイをした時の襟のロール感などを盛り込みました。
貞末 ブログにも書いたんですが、その着心地の違いは説明できない…着ればわかると(笑)!私も着た瞬間に感じました。我々日本人も、ニューヨークの人たちにも、鎌倉シャツって進化してるなぁと思ってもらえるでしょう!
柴山 確かにたたみの状態では違いがわからないんです。着てみないとわからないことですね。少しでも多くの方々にこの着心地を届けたいです。
貞末 世界中の人が待ち望んでいるシャツが完成しましたね。すごいブームになるんじゃないかな。お洒落というのは料理と同じで旨いか不味いかは人が判断する。相手から見てお洒落かどうかだから…マンハッタンモデルというのは旨い料理と一緒で、まさに相手から見てスタイリッシュだなと思われること。自分が気づかないうちに他人から見てすごいお洒落なシャツを着ているなど、新しい自分を発見する訳だから、すごいプレゼントです。皆様にその真価を問いますよ。
貞末 約35年前、柴山先生はエーボンハウスに、私はヴァンヂャケットにおりました。ヴァンのスーツ・ジャケットはどうしてもエーボンハウスにかなわない。大阪で営業部長をしていた当時、何でこんなに良いものが作れるんですかと当時の社長を訪ねました。「実はうちには柴山という宝が一人いて、彼の指導の下、ものづくりしているんだよ」と聞き、すごい方がいるんだなぁという印象がずっとありました。
柴山 貞末会長には、2003年、日本モデリスト協会(モデリストとは縫製ができて型紙製作から工場指導ができるスペシャリスト)で講演をしていただきました。その頃から貞末さんは新聞によく出られていて話題のシャツ屋さんでした。もちろんそれ以前から存じ上げておりましたし、その後の鎌倉シャツの隆盛をずっと見聞きしていましたよ。
貞末 あの講演はもう13年前ですね。丸ビル店がオープンした頃でした。2010年に、日本のものづくりを守ろうという「日本発ものづくり提言プロジェクト」が立ち上がり、お互いメンバーとしてディスカッションする場面がありましたね。その会の始まりに、控え室でお話する機会も増えました。実は、鎌倉シャツをはじめる以前から柴山先生のお力をお借りしたいと思っておりましたが、先生は著名でお忙しい方だからなかなかアプローチできず…
今日、NYに店を構えた鎌倉シャツは、世界中から既製品でも細かいフィットを要求されます。日本人ならできるはずだと言われるんです。そんな時、ナポリドレスシャツが発売になりました。そのフィット感で、身体が感じるちょっとした着心地の違いに気付きました…これを日本で完成させるには世界的なモデリストである柴山先生にお願いするしかない!と心に決め、75歳で引退したいとおっしゃる柴山先生に、なにがなんでもお願いします、75歳まであと5年はやって欲しいと…やっと、世界と戦っても勝てるシャツ作りの土台が整いました。
柴山 提案に来られてから、あれよあれよという間に話が進みまして(笑)。私の性分として、引き受けたからには気持ちごと移入しようと。私はスーツが専門なんですが、シャツはその外せない相棒です。シャツに関しても失敗を重ねて学んだ経験がありますし…そういう全てが活かせるのは嬉しいですね。
貞末 もちろん、型紙に関しては今までも立派なものができていたと思うんです。ただ、縫製業というのは設計図(=型紙)ができても製造部隊がそれを形にできるかどうかは全くの別問題なんです。そのために、設計者が製造現場に行って設計図通りにものができあがるように指導する。それができるのは、工場からスタートされたれた柴山先生しかいないんですよ。工場で実際に縫って見せて、素晴らしい設計図をかける人は、世界中にもひとりかふたり、それがモデリスト柴山登光。なんとなく日本で作っているからメイド・イン・ジャパンではなく、日本製とはこういうものだと言いたい。そして、シャツは構造物だということ。構造物を作るという概念が今のアパレルにはない。ただファッションすればいいというのでは、お客様の着心地には反映できない。一番身体に近いシャツと言うテーマに全力を挙げて世界制覇を目指すことが今の目標です。
柴山 私の洋服人生はテーラーから始まりました。はじめにものづくりがありきで、そこにパターン(=型紙)があって…工場が縫いやすいパターンとはどういうものかを今の私にはわかります。メーカーにパタンナーがいても結局パターンを工場に流すだけ、それだけでは良いものはできないんですよ。自分の作るパターンの特徴や注意点をわかった上で、どのように完成させるのかを伝えないと…工場側もできたパターンを受け取って縫うだけでは、そのメーカーの雰囲気は反映されませんからね。そういう伝達のできる人が今はほとんどいないし、ましてや海外で製作していたり、商社に丸投げしたり、企画の思いはあっても、どこも60%程度の完成度ではないでしょうか。
柴山 シャツは元々下着でしたが、スーツの下に着るようになり…今や上着を脱いでシャツがアウター化していますね。まずは、スーツの下に着た時のVゾーンをいかに美しく見せるか。では、ネクタイをしない時はどうか、アウター化した時は。いかにバランスをとるかが大事です。今回は胸元やネクタイを外した時の収まりをより美しく見せるよう設計しなおしました。先ほど貞末会長もおっしゃいましたが、イタリア製のシャツは工場で普通に縫っていてもなにか着心地が違う。縫う工員達の手つきは彼らには普通なんだけれど…その感覚の違いを日本で再現するにはパターンだけでなく、ミシンのテクニックが重要。ミシンの縫い方向違いによって起こる現象にテクニックが入るとシャツに表情が出るんですね。バランスとシャツの表情、さらにそれに伴う着心地、ネクタイをした時の襟のロール感などを盛り込みました。
貞末 ブログにも書いたんですが、その着心地の違いは説明できない…着ればわかると(笑)!私も着た瞬間に感じました。我々日本人も、ニューヨークの人たちにも、鎌倉シャツって進化してるなぁと思ってもらえるでしょう!
柴山 確かにたたみの状態では違いがわからないんです。着てみないとわからないことですね。少しでも多くの方々にこの着心地を届けたいです。
貞末 世界中の人が待ち望んでいるシャツが完成しましたね。すごいブームになるんじゃないかな。お洒落というのは料理と同じで旨いか不味いかは人が判断する。相手から見てお洒落かどうかだから…マンハッタンモデルというのは旨い料理と一緒で、まさに相手から見てスタイリッシュだなと思われること。自分が気づかないうちに他人から見てすごいお洒落なシャツを着ているなど、新しい自分を発見する訳だから、すごいプレゼントです。皆様にその真価を問いますよ。