ぼく盲導犬、よろしくね

vol.06 街での訓練

段差を教える 誘惑がいっぱいの街
ぼくたちは、実際に人通りの多い交差点や
駅構内、ショッピングモールなどあらゆる場所に出かけ、
街中を安全に歩くための訓練も行うんだ。

街は今までの訓練センターとは違い、
大きな音が飛び交ったり、
散歩中のワンちゃんが近づいてきたり、
美味しそうな匂いがプンプンしたり、
まさに誘惑だらけの場所。
ぼくはそんな誘惑に最初はびっくりしたり、困ったりしたけど、
その都度盲導犬訓練士さんが、安全で正しい歩行ができるように
コマンド(=命令)をかけてくれる。
ぼくは少しづつ色んな体験を重ね、
「なんだ、そんなにびっくりすることじゃないんだ」
って勉強するんだ。

盲導犬はカーナビじゃない!?
ぼくたちはカーナビみたいに
「○○駅までストレート・ゴー」って言われても、
案内することはできないんだよ。
電車での訓練 でも目的地に行くまで、階段など段差の前で止まったり、
障害物をよけたりしながら歩くんだ。
道の角にさしかかると身体の向きで
「角ですよ」って教えてあげるから、盲導犬ユーザー(使用者)は
「あ、駅は2個目の角を左折だから、次で曲がればいいんだ」
って判断できるんだよ。

盲導犬は3つのお仕事
(障害物をよける・段差で止まる・角を教える)
をうまく組み合わせながら、
エスカレーターや電車、バスの乗り降りも行い、
目的地まで安全にユーザーを誘導していきます。


キャリアチェンジもひとつの個性
ぼくたちの仲間には、
すごく繊細で知らない場所に行くと緊張してしまう子や、
好奇心が旺盛過ぎてついついすれ違うワンちゃんや
猫ちゃんと遊びたがる子とか、いろんな性格の子がいるんだ。

障害物を避ける 訓練士さんは盲導犬の訓練をしながら、
「この子は盲導犬に向いているか、向いていないか」を
ぼくたちの性格・行動を細かく観察しながら、判断するんだって。
訓練を受けた犬たちの中で
実際に盲導犬になれる確率は約3割程度なんだ。

盲導犬に向いていないと判断された子たちは、
それぞれの性格にあった新しい道に
キャリアチェンジするんだよ。

訓練の過程において盲導犬には向いていないと判断された犬は、
「キャリアチェンジ犬」として
それぞれの性格にあった環境のもとで暮らすことになります。
啓発活動の場でデモンストレーションなどを行う
盲導犬PR犬として活躍したり、
「キャリアチェンジ犬飼育ボランティア」の家庭で
家庭犬(ペット)として暮らすなど、
それぞれの性格にあった道に進みます


もっと褒められたい! こんな風にぼくたちは数カ月の間、
ひとつひとつ色んな勉強を重ねて、
いよいよパートナーとなる
盲導犬ユーザーとの共同訓練が始まるんだ。

あ、またおしゃべりが長くなっちゃった。
この話はまた次回にね。



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